モーターやモータードライバについていろいろ

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体系的にまとめるのは面倒なのでぐだぐだ書いていく。

 

  

リレー+FET式ドライバ

学ロボやってる時に2016年の新人大会用の回路BOXのために使ったことがある

正直既成品ドライバやFETオンリーで組んだほうがトータルで安くて高性能だけど、この場合は在庫のしょぼいFETと昨年のリレーの使い回しで徹底的な低コスト化を図った。

リレーの切り替え時間がミリ秒オーダーであるので制御入れるのは現実的ではない。

duty0から+方向に行くか-方向に行くかでリレーの切り替え時間差が発生するのでラジコンでもあまり良いものではない。

さらに言うと、PWMがオフの時に制動モードに入れられない(ようは2象限ドライバ)のでほぼ片回転でしか使わないとしても、制御性が悪い。

わかりやすくそこそこの耐久性のドライバを作れること以外にメリットはないと思った。

 

ブラシレスドライバ(ホールセンサ駆動)

2015年のキャチロボ用に作ったことがある。マイコンと回路を組み合わせて駆動していた。

簡単に高出力化できるけど、コギングトルクがすごいので、ホールセンサのみに頼った駆動ではロボットには向かないと思った。

 

 

フリーホイールダイオード

フライホイールダイオードとも言われる(誤用っぽいけど通じるのでどっちでも良いと思う)。

パワートランジスタしかなかった時代ではスイッチング素子とは別に付ける必要があったけど、MOSFETではFETの構造上存在するボディダイオードをフリーホイールダイオードとして使えるので付けなくても良い。

ボディダイオードはそこそこ高速かつ低Vfで耐電流も優れていることが多い。外付けするなら、ボディダイオードより低Vfのものでないと付ける意味がない。Hブリッジ回路の場合、整流用ダイオードブリッジがいい感じに使えるように見えるけど、基本的にスイッチングが遅いのであまり向かない。

根本的に、制御を前提としたスイッチング方式ではフリーホイールダイオードに電流が流れることはほぼ無いので、存在価値が無い気がする。

フリーホイールダイオード(ボディダイオード)は、モーターの端子間電圧を電源でクランプしているという見方もできる。

 

 

PWMについて

ちゃんと理解したければ各象限での電流変化を計算する必要がある。自分はだいたいSM PWMしか使っていない。


Sign-magnitude

よく使われているPWM形式。略してSM PWMと書くこともある。

PWMかける側のアームのFETを上下それぞれPWM駆動することでモーターに流れる電流を制御する。

PWMかけないアームのローサイドFETがONの時

PWMがHighならハイサイドFETのがOFF、ローサイドがONになる:端子間電圧=[電源電圧] V

PWMがLowならハイサイドFETのがON、ローサイドがOFFになる:端子間電圧=0 V

よくある間違い(というか自分がそう思ってた)として、PWMがLOWの時に、ハイサイドもローサイドもOFFにするのはAsynchronous Sign-magnitudeと言う(この表記が一般的であるかはわからない)。

以下のサイトが詳しい。

Sign-Magnitude Drive | Modular Circuits

Asynchronous Sign-magnitude Drive | Modular Circuits

 

 

Lock Anti-Phase

LockedAntiPhase、LAP PWMとも書いたりする。十分なPWM周波数と端子間インダクタンスが必要なので高出力化しようとすると面倒。効率が悪くなったりスイッチング損失が増えたりするので、対策として停止時や制御性がたいして必要ではない時はSM PWMに切り替えてPWM周波数を下げる手法がある。

以下のサイトが詳しい。

Lock Anti-Phase Drive | Modular Circuits

 

ゲートドライバ

トランジスタとかTLP250Hとか使ったりせずに全部入りドライバを使うのが正解。デッドウェイト、UVLO、アーム短絡など。IRのゲートドライバはクソ。絶縁ゲートドライバはSiliconLabのものが安くて良い。あと学生ならサンプル請求が通るのでありがたい。

TIのスマートゲートドライバだとFETのD-S間電圧監視やらなんやらがついているので電流センサレスで過電流・短絡保護を使える。

ゲートドライバの選定や情報収集はゲートドライバを製造しているメーカーのサイトへ行くのが一番効率良い。

 

FETの寄生容量と基板設計

G-D間の寄生容量はそもそも寄生容量が少ないFETを使う、スイッチング速度を下げる以外にこれといって対処法がない。

D-S寄生容量はスイッチング時のD-S間電圧の変化によってアーム短絡電流が流れるので電源電圧に強烈なノイズが乗る。設計によってはGND-GND間でもp-p1V以上出ることもあるので、過度な高速スイッチングをしない、電源(特にGND)は低インピーダンス、低インダクタンスにする。D-S間寄生容量による貫通電流はスイッチングによって発生する1MHz以上のノイズとして出てくることが多いので、表皮効果も意識したほうが良いかもしれない。

GND電圧は必ずしも0Vでないので、ゲート駆動パターンはそれを意識してGND-FETのゲートではなくFETのG-S間の差動になるよう意識する。

 

 

 

まだ書けそうなことはいろいろあるので、ある程度溜まってきたらまた書きたいと思います。

ちなみにトップの画像は昔設計したゴミMDですね